失業保険とは、雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付)のこと

雇用保険は、労働者の生活や雇用の安定を目的とした公的保険で、離職して失業状態にある人が安定した生活を送りながら一日でも早く再就職できるように支援することを目的の一つとする制度です。
失業手当・失業保険・失業給付金など一般的にはさまざまな呼ばれ方があります。
雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付金)の受給条件
保険であるため、受給するにはいくつかの条件があります。
失業状態であること
失業状態とは、就職しようとする積極的な意思やいつでも就職できる能力があり、求職申し込みを実際に行っているにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就けない状態になります。
下記のようなケースは、失業状態と認められません。
①家事家業に専念することになった
②家業や家事の手伝いをしている
③学業に専念することになった
④次の就職先が決まっており、転職活動をする予定がない
⑤自営業を始めた(準備を含む)
➅会社や団体などの役員に就任した
下記のようなケースは、失業給付金の受給期間延長手続きを行えば、働ける環境が整ったあとで給付を受けられることがあります。
①定年退職して、しばらく働かない場合
②病気・ケガ・妊娠・出産・育児などのためすぐに働けない
③介護などのためにすぐに働けない
退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12カ月以上ある
賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1カ月として数えます。
ただし特定受給資格者や特定理由離職者は、退職日以前の1年間に雇用保険に加入していた月が通算して6カ月以上あれば失業保険が受給可能です。
特定受給資格者
倒産・リストラ・解雇などにより再就職の準備をする時間的余裕がなく離職せざるを得なかった人
特定理由離職者
特定受給資格者以外の人であって、契約更新を希望したのに更新されずに期間満了となった人
特定受給資格者以外であって、病気・出産・配偶者の転勤などの理由で失業した人
ハローワークに求職の申し込みをしている
失業保険の受給手続きとして、ハローワークで受付票に氏名・住所・経歴および就職の希望条件などを記入して提出し求職の申し込みを行います。
雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付金)の受給手続き
失業手当(失業保険・失業給付金)を受給するにはハローワークでの申請手続きが必要です。
現住所がある市区町村を管轄するハローワークで手続きを行う必要があります。
雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付金)を受給するまでの流れ
①ハローワークで求職の申し込み(離職票と受付票の提出)
②7日間(土曜日・日曜日・祝日含む)の待期期間
③雇用保険説明会に出席
④待期期間満了の翌日から2カ月間は給付制限があるため給付なし
⑤毎月(4週間に一度)の失業認定日に出向き、その後約1週間で給付
会社都合の退職(懲戒解雇は除く)
①退職
②離職票の受け取り
③ハローワークで受付票の記入・離職票を提出し面接
④受給資格決定
⑤待期期間(7日間)
➅雇用保険受給説明会
⑦失業認定日(1回目)→失業手当振り込み(1回目)
⑧失業認定日(2回目)→失業手当振り込み(2回目)4週間後
⑨失業認定日(3回目)→失業手当振り込み(3回目)4週間後
⑩再就職または給付期限終了まで失業認定(失業手当振り込みの繰り返し)
自己都合・懲戒解雇の退職
①退職
②離職票の受け取り
③ハローワークで受付票の記入・離職票を提出し面接
④受給資格決定
⑤待期期間(7日間)
➅雇用保険受給説明会
⑦失業認定日(1回目)→失業手当振り込み(1回目)
⑧待期期間満了の翌日から2ヶ月間は給付制限のため支給なし
⑨給付制限の終了
⑩失業認定日(2回目)→失業手当振り込み(1回目)2ヶ月後
⑪再就職または給付期限終了まで失業認定(失業手当振り込みの繰り返し)
雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付金)の手続きに必要なもの
①離職票1・2
②雇用保険被保険者証
③本人の住所・氏名・年齢を確認できる本人確認書類
④写真2枚(たて3cm×よこ2.5cmの正面上半身のもの)
⑤本人名義の普通預金通帳
➅印鑑
⑦求職申込書
⑧個人番号確認書類(マイナンバーカード・通知カード・個人番号記載の住民票のいずれか1種類)
離職票とは
離職票とは、離職したことを証明する公的な書類で、雇用保険被保険者離職票になります。
離職票の交付手続きは、所属していた会社に行います。
会社を退職して失業状態にあるときに失業手当の受給を希望する場合、退職者が直接ハローワークに提出します。
①雇用保険被保険者離職票-1(資格喪失確認通知書)…雇用保険の資格喪失を通知する書類。雇用保険の被保険者番号や離職年月日、離職者氏名などがあらかじめ記載されている。
②雇用保険被保険者離職票-2…離職理由(会社都合/自己都合)、賃金支払い状況、被保険者期間などを通知する書類。

退職日から10日前後でハローワークが会社に交付し、その後、会社が退職者宛てに郵送します。
(補足)退職証明書とは(雇用保険の失業手当の手続きには不要)
退職証明書とは、離職票の発行が遅れているときなどに、代わりに退職した事実を証明する書類です。
会社側が作成の上、退職者に交付します。
退職者の依頼後、発行されます。退職前でも発行は可能です。
①転職先から求められた場合に、退職したことの証明として提出
②離職票の交付が遅れている場合、健康保険の切り替え手続きに離職票の代わりとして提出
(補足)雇用保険被保険者資格喪失届とは(雇用保険の失業手当の手続きには不要)
雇用保険被保険者資格喪失届とは、退職者を雇用保険から外す手続きに使う書類です。
会社が作成してハローワークに提出、その後、退職者に戻ってきます。
退職日の翌日から10日以内に、所属している会社が作成します。
①退職先の会社が雇用保険の被保険者でなくなったことを届け出るためにハローワークに提出
②雇用保険加入者が離職票を交付してもらうためにハローワークに提出
退職理由による受給開始時期
雇用保険を受給する際に、退職理由によって失業給付金の受給開始時期が異なることは注意が必要。
①会社都合による退職…7日間の待期期間満了後から給付対象となります。
②自己都合による退職…7日間の待期期間+2カ月間の給付制限期間を経て給付対象となります。

ここがポイント‼
《自己都合での退職の場合、約2カ月間は失業手当を受け取れません。》
雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付金)の受給期間
次の仕事が決まるまでの間、定められた受給期間の間に所定給付日数を限度として失業手当(失業保険・失業給付金)の支給を受けられます。
自己都合、定年退職などにより離職した方
10年未満…90日
10年以上 20年未満…120日
20年以上…150日
倒産、解雇などにより離職した方
1年未満…90日
30歳未満
1年以上 5年未満…90日
5年以上 10年未満…120日
10年以上 20年未満…180日
30歳以上 35歳未満
1年以上 5年未満…120日
5年以上 10年未満…180日
10年以上 20年未満…210日
20年以上…240日
35歳以上 45歳未満
1年以上 5年未満…150日
5年以上 10年未満…180日
10年以上 20年未満…240日
20年以上…270日
45歳以上 60歳未満
1年以上 5年未満…180日
5年以上 10年未満…240日
10年以上 20年未満…270日
20年以上…330日
60歳以上 65歳未満
1年以上 5年未満…150日
5年以上 10年未満…180日
10年以上 20年未満…210日
20年以上…240日
障がいを持つ方など就職困難な状況にある方
1年未満…150日
1年以上 …300日(45歳以上 65歳未満は、360日)
雇用保険の失業手当(失業保険・失業給付金)の金額計算方法
①基本手当日額=賃金日額(退職前6か月の賃金合計)×給付率50~80%(60~64歳は45~80%)
②基本手当相当額=基本手当日額×所定給付日数
③毎月振り込まれる基本手当額=基本手当日額×28日分

月々の給与が30万円
離職当時の年齢は35歳
自己都合による退職
入社して3年間働いた

毎月振り込まれる基本手当の額は、165,000円ほどの支給になるかと思います。
基本手当日額とは
基本手当日額とは、雇用保険で受給できる1日当たりの金額のことになります。
退職前6カ月の賃金の総額を180で割った賃金日額に、およそ50~80%の給付率を掛けた金額です。
離職前の賃金の5割から8割程度に相当し、給付率は元の賃金の金額が低い方ほど率が高くなります。
賃金日額によって給付率が変動して基本手当日額も変わります。
まとめ
会社を辞めるときの理由が、自己都合であったか会社都合であったかで失業手当(失業保険・失業給付金)の条件が変わります。
自己都合の場合、待期期間とされる7日間のあと2カ月間待たないと失業給付金が受け取れません。
会社都合の場合、待期期間後の認定日より最短7日で給付開始になり、1カ月後には最初の失業手当(失業保険・失業給付金)が受け取れることができます。
失業手当(失業保険・失業給付金)の受給中であってもアルバイトやパートとして働くのは可能です。
ただし待期期間として定められた7日間に働いたり、雇用保険の対象になるほど働いたり、失業手当(失業保険・失業給付金)の80%よりも多く1日で稼いだりすると給付が受けられなくなってしまいます。
また1日4時間以上働くと支給の開始が先送りされます。
ハローワークのインターネットサービスがあります。

インターネット上でマイページを開設するとともに、求職登録ができます。
積極的に利用してみては、いかがでしょうか?
ハローワークの公式リンクを貼っておきますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント