「家計管理は、我慢の記録」――そう思っていた頃、我が家の財布はじわじわ痩せていきました。
3級FP技能士の資格を取り、28年サラリーマンを続け、3人の子育てをしてきた中で、ある日気づいたのです。
節約だけを目的にした家計は、家族の笑顔ごとすり減らしてしまう。
そこで、考え方を変えました。
「節約は手段。本当の目的は、家族と過ごす『経験』にお金を使うこと」
これが、我が家で言うところの「経験投資」です。
この記事では、固定費の見直しで生まれたお金を、家族旅行や思い出に変える具体的な方法を、FP技能士+3児の父の視点でお伝えします。
家計管理が「我慢のリスト」から「経験への投資台帳」に変わるきっかけになれば嬉しいです。
モノを買う=経験投資。我が家の少し変わった家計哲学
正直に言うと、私はモノにもしっかりお金を使ってきました。
新車、最新家電、最新ゲーム機、iPhoneのニューモデル……。新しい技術が出れば、わりと迷わず取り入れてきた家庭です。
そして、経験にもお金を使ってきました。
今から20年ほど前から、8年間ほど続けた家族イベントがあります。それが、お盆休みの「逆向き東京旅行」。
世間の人たちがお盆の故郷帰りで地方に向かう時期、我が家はあえて流れに逆らって、都会へ向かう。
すると、普段なら混雑しているホテルがガラガラ。連泊しても格安。
遊園地、野球観戦、ショッピング――人混みのない東京で過ごした夏は、今でも我が家の語り草になっています。
モノにお金を使ったら、子どもたちの「未来」が変わった
そして数年後、ちょっと不思議なことが起きました。
最新ゲーム機やiPhoneに囲まれて育った子どもたちが、ITベンチャー企業の経営に携わったり、フリーランスとして働いたり――それぞれの形で、テクノロジーを軸にした仕事に就いていったのです。
私が「最新技術にお金を使った」のは、ただの「モノ消費」ではなかったのかもしれません。
子どもたちにとっては、日常の中で最先端に触れる「体験」だった。
つまり、モノを買うことが、そのまま子どもの将来への「経験投資」になっていたのです。
経験にお金を使ったら、家族の「考え方」が育った
逆向きの東京旅行も、ただの娯楽ではありませんでした。
「世間と違うルートで動いてもいい」
「人の流れに従わなくても、ちゃんと幸せになれる」
家族みんなで体感した、もう1つの選択肢。
それは、子どもたちの中に「正解は1つじゃない」という思考のクセを残してくれました。
――もしかすると、起業やフリーランスという人と違う道を選ぶ後押しに、なっていたのかもしれません。
我が家の結論:意図があれば、モノも経験も投資になる
世間では「モノより経験にお金を使え」と言われます。コーネル大学の研究でも、経験消費の方が幸福度が高い、と。
でも、我が家の経験から言うと――
意図を持って使うなら、モノも経験も、立派な未来への投資になる。
「変わってる」と言われるかもしれません。でも、変わっていることを意図的にやってきた我が家にとっては、これが、後悔のない家計哲学です。
ただし「無意図な消費」は家計を蝕む
もちろん、何でもかんでも買えばいいわけではありません。
意図のないモノ消費、惰性のサブスク、なんとなくの外食。これらは、家計を静かに痩せさせる元凶です。
だからこそFPの視点で言えば、「何にお金を使うか」を意図的に決める力が、家計管理の本質。
次の章では、その「意図ある家計」を実現するために、私が実際に見直した3つの固定費の話をしていきます。
経験投資の原資を生む、3つの固定費見直し
家計を意識的に「経験投資」に振り分けるには、そのお金を生み出す「源泉」を作る必要があります。
私が手をつけたのは、毎月当たり前のように口座から引き落とされる「3つの固定費」。効果が大きかったものから、順にお話しします。
① 通信費(光回線)—— 一度見直せば、ずっと効く
最初に手をつけたのが、家のインターネット回線でした。
光回線は、契約時期を覚えていない人ほど、古いプランのまま放置している可能性が高いゾーンです。
最近の光回線は、同じ速度・容量でも月2,000〜3,000円ほど安くなるケースが少なくありません。
仮に月3,000円下がれば、年間36,000円。これは、家族で1泊温泉旅行に行けるお金が、毎年生まれる計算です。
ちなみに、回線の比較・申込はサービスが乱立しているので、一括で見比べられるサイトを使うのが効率的でした。
ポイントは、「ただ安くする」のではなく、「浮いたお金を、旅行や経験に回す」と先に決めておくこと。
これだけで、家計の見え方がガラッと変わります。
② 電気代 —— 戸建てなら「根本対策」も視野に
電気代も、ここ数年でじわじわ家計を圧迫しています。
節電グッズや電力会社の見直しでも下がりますが、戸建てに住んでいる方には、もう一段先の選択肢があります。
それが、太陽光+蓄電池の導入です。
初期費用は安くありません。でも「長く住む家なら、長期で見れば投資になる」という発想です。
我が家は2019年に導入しました。家電が多くて、もともとの電気消費量が多かったので、電気代は月1万円以上下がりました。
年間に換算すると12万円超。これは家族で2〜3泊の温泉旅行に行ける金額が、毎年生まれている計算です。
7年弱の運用実績を踏まえると、「初期費用は決して回収不能な額ではなかった」というのが、我が家のリアルな結論です。
マンション住まいの方は対象外ですが、電力会社の見直しから始めるのも、立派な意図ある選択です。
「住まいに合った方法」を選びましょう。
③ 投資積立 —— 「旅行費」を運用で育てる
最後は、ちょっと意外な視点。
旅行費を「銀行貯金」で貯めると、利息はほぼゼロ。でも、新NISAを活用すれば、運用益が非課税で育ちます。
我が家では、2017年の旧NISAの頃から、家族旅行費の積立をインデックスファンドで続けてきました。
もう9年目に入ります。
毎月コツコツ積み立てているだけですが、気づけば数百万円の資産になり、そのまま「次に行きたい場所」のための原資になっています。
目に見えない「金融の経験投資」が、未来の旅行という「リアルの経験投資」を支えてくれている――そんな感覚です。
口座開設は無料、月100円から始められるので、「将来の経験のために」という意図で始めるのは、1つの選択肢です。
ただし、投資は元本保証ではないこと、「短期で必ず儲かる」話ではないこと、この2点だけは必ず理解した上で、余剰資金で長期にコツコツ取り組んでください。
これは3級FP技能士として、必ずお伝えしておきます。
3つを見直すと、年間で十数万円が生まれる
光回線で年3〜4万円、電気代対策で年12万円超、そして投資の運用益が将来的に上乗せ。
これだけで、家族旅行2〜3回分の予算が、毎年の家計の中から自然に生まれてきます。
「節約のための節約」ではなく、「経験のための見直し」だと思うと、家計簿に向き合う気持ちが、ずっと前向きになります。
浮いたお金で、家族と何を経験する?
固定費を見直して原資ができたら、いよいよ「使い方」のフェーズです。
ここは正解がありません。「家族で何を経験したいか」で、お金の行き先は変わります。
ただ、私の一番のおすすめは、シンプルに「旅行」です。
理由は、最初の章でも書いた通り、旅行は終わったあとも家族で何度も語り直せる、「最も持続する経験」だから。
私が実践してきた、「賢く家族旅行に行く」2つの方法をお伝えします。
① パッケージ予約で「予算管理」と「時間」を買う
家族旅行を計画するとき、航空券・ホテル・レンタカーを別々に予約していませんか?
私もずっとそうしていました。でもこれは、「時間」と「予算管理」の2つを失う方法でした。
別々に予約すると、合計金額が最後までハッキリ見えない。そして調べる時間で、貴重な休日が溶けていく。
最近は、航空券+ホテル+レンタカーをまとめて予約できる「パッケージツアー」のサービスが充実しています。
総額が最初から見えるので、家計管理がしやすい。予約にかかる時間も、圧倒的に短くなる。
「旅行の予約に追われる時間」を、「旅行中の家族の時間」に使う。これも、立派な経験投資です。
ポイントは、「最安値」だけを追わないこと。ある程度の質を保って、時間と予算管理のバランスを取る。これが、家族旅行を「ストレスゼロ」で楽しむコツです。
② ふるさと納税で「実質タダ」の経験を得る
もう一つ、我が家でも活用してきたのがふるさと納税です。
ふるさと納税は、実質2,000円の自己負担で、各地の返礼品が受け取れる制度。
返礼品といえば「お肉」「お米」のイメージが強いですが、最近は宿泊券・旅行クーポンを返礼品にしている自治体も増えています。
これを上手に使えば、「実質2,000円で家族旅行に行ける」という、ちょっと驚きの家計術が成立します。
ただし、寄附できる上限額は人によって異なります。ご自身の所得に合った金額で、無理なく使いこなしてください。
ふるさと納税は、「税金を経験に変える」という、最も合理的な経験投資の手段です。
経験投資、何を選んでもOK
ここまで「旅行」を例にしてきましたが、家族で大切にしたい経験は、人それぞれです。
外食、習い事、コンサート、スポーツ観戦、キャンプ、博物館、ライブ……。
大切なのは、「これは家族の経験投資だ」と自覚を持ってお金を使うこと。
それだけで、家計簿の数字が「我慢の記録」ではなく「未来への投資台帳」に変わります。
経験投資のFPメンタルチェックリスト
ここまで読んでくださった方に、家計と経験のバランスを振り返るための「メンタルチェックリスト」を用意しました。
責めるためのリストではありません。「Yes」が多ければ、すでに意図ある家計運営ができている証拠。「No」が多ければ、ここから始められる余地がある、という意味です。
- 固定費(通信・電気・保険など)を、半年〜1年に1回は見直している
- 「旅行積立」など、経験のための専用口座や投資枠を持っている
- モノを買うとき、「これは未来への投資か?」と一度問いかけている
- 家族と「どんな経験にお金を使いたいか」を話す機会がある
- 経験にお金を使うことに、罪悪感を感じていない
- ふるさと納税の控除上限額を、毎年だいたい把握している
- 「世間と違うやり方」を、自分の意図で選べている
チェックが3つ以上あれば、十分です。1つもなくても、今日この記事を読んだことが、最初の一歩。
家計管理は、誰かと比べるものではなく、家族の中で「意図」を持てているかどうかの問題ですから。
家計簿は「我慢の記録」じゃなく「経験への投資台帳」
冒頭で書いたように、私はずっと「家計管理=我慢の記録」だと思っていました。
でも、考え方を1つ変えるだけで、家計簿は「未来への投資台帳」に変わります。
新車を買った日の数字も、家族で東京に行った夏の数字も、9年続けてきた積立投資の数字も、全部、家族の歴史を作ってきたお金です。
そのお金の使い方に、自分なりの「意図」があれば、それは立派な「経験投資」。
世間ずれしていると言われても、意図して選んだ道なら、後悔は残りません。
「家計管理は楽しい」とまでは言えなくても、「家計管理は意味がある」と思える日が、きっと、あなたにも来ます。
来月の家計簿が、あなたにとって少しでも前向きなものになりますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もしこの記事が役に立ったら、「あなた家の経験投資エピソード」を、コメント欄でぜひ教えてください。
「変わってる」家計の仲間が、ここに集まっていく――そんなブログを、これからも育てていきます。


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