社会保険料控除とは
給与などから控除される社会保険料以外に、本人または本人と同一生計の配偶者・その他の親族が負担すべき社会保険料を支払っている場合には、社会保険料控除の適用を受けることができます。
社会保険料控除の対象となる社会保険料は、健康保険・国民健康保険・厚生年金・国民年金・介護保険・後期高齢者医療保険などになります。
所得者が本人または本人と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき社会保険料を支払っている場合には、その支払った社会保険料の金額も、その人のその年中の所得の金額から控除されます。
社会保険料控除の対象となる社会保険料
①会社が健康保険・厚生年金保険に加入しておらず、本人が国民年金保険料・国民健康保険料を支払った場合
②会社を退職後、次の会社に就職するまでの間に健康保険の任意継続の適用を受け、健康保険料を支払った場合
③同一生計の20歳以上の子どもの国民年金保険料を支払った場合
④同一生計の配偶者(健康保険の被扶養者ではない人)の国民年金保険料・国民健康保険料を支払った場合
社会保険料の控除額
社会保険料の控除額は、その年中に支払った社会保険料の全額です。
本年中に支払うべき保険料であっても、現実に支払っていないものは含めることはできません。
滞納分を一括して支払った場合は、その全額を控除できます。
配偶者の社会保険料を控除対象とできるのは、配偶者の保険料を納税者本人が負担して口座振替や現金納付で支払っている場合になります。
国民年金保険料を前納している場合には、前納した期間が1年以内であれば、その全額を控除することができます。
2年分を前納した場合は、2年分を全額控除することもできますが、1年分ずつ控除することも可能です。
社会保険料控除に必要な証明書
社会保険料控除については、国民年金保険料・国民年金基金の加入者掛金(国民年金保険料等)に限り、日本年金機構または国民年金基金連合会が発行する控除証明書が必要となります。
社会保険料控除証明書がない場合
社会保険料控除については、国民年金保険料・国民年金基金の加入者掛金(国民年金保険料等)については、その保険料等を支払った事実を証明できる書類を添付または提示しなければならないことになっています。
もし、保険料等を支払った事実を証明できる書類を添付または提示がない場合でも、翌年1月31日までに証明できる書類を提出することを条件として年末調整で控除を行うことができます。
翌年1月31日までに証明できる書類を提出できなかった場合には、その不足額を2月1日以降に支払給与から順次徴収していくことになります。
後期高齢者医療制度の保険料
後期高齢者医療制度の保険料については、公的年金等の支給額が一定以上の場合には年金から特別徴収されていて、特別徴収の対象とならない場合には、納付書で納付(普通徴収)するのが原則です。
特別徴収の場合…後期高齢者本人の年金から天引きされるので、後期高齢者本人が支払っていることになります。給与の支払いを受ける人の社会保険料控除の対象とはなりません。
普通徴収の場合…給与の支払いを受ける人が支払っていれば、保険料控除申告書に記載することで、給与の支払いを受ける人の社会保険料控除の対象となります。
社会保険料控除確認のポイント
①社会保険料控除の対象となる社会保険料かどうか
②社会保険料が現実に支払ったものか
③申告された社会保険料が、その年中に支払われているか
④中途就職者の場合、前の勤務先で支払いを受けた給与から控除された社会保険料が処理されているか
⑤国民年金保険料等については、その証明書類が添付されているか
控除の対象とならない社会保険料
①会社などで任意に組織された共済制度などに基づく会費
②療養の給付を受けた者が負担する費用
③給与の支払者が負担した保険料
④非課税の在外手当に対する社会保険料
社会保険料控除額の計算
本年中に給与から差し引かれた社会保険料等の総額を集計します。
本年中に転職した人については、その人が前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払いを受けた給与から差し引かれた社会保険料等も含めて集計します。
転職前の勤務先から交付を受けた本年分の給与所得の源泉徴収票で確認することができます。
給与の支払者が負担した社会保険料等の金額のうち、給与として課税されるべきものは、本人自身が支払ったものとして控除の対象となります。
給与の支払いがなかったため直接本人から徴収したりした場合や、退職手当から控除した場合、休業補償など非課税所得から控除した場合などは、給与から控除した社会保険料に含まれることになります。
社会保険料の控除の対象は、本人が本年中に支払ったものだけです。
納付期日が到来して本年中に支払うべき保険料であっても、現実に支払っていないものは対象外です。
国民年金の保険料又は掛金を前納した時には、保険料又は掛金について割引があります。
社会保険料控除の対象となる社会保険料は、この割引後の金額となります。(実際に納付した金額)
まとめ
本年中に給与から差し引かれた社会保険料等の総額は、給与明細が保管されていれば確認できます。

ここがポイント‼
《社会保険控除の額を知るためには、1年分の給与明細の保管が必要です。》

我が家の場合は、5年分の給与明細が保管されています。
本人分の社会保険料等の額は、ほとんどの会社は事務部が計算してくれると思います。
自分でも、社会保険料等の額を計算してみて、源泉徴収票と合わせるのもいいかと思います。
会社に依存しすぎずに、自分でも理解することが大切ではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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